さくほの場合は。

ほどよい田舎佐久穂町。移住のリアル。

散歩の収穫

朝の寒さが和らぎ、植物にも春の息吹を感じると同時に、少しずつ人の動きも活発になってきました。

昨日の集落の会議で、ちょっとジーンとしたことがあって、その話をしたいなあと思いながら朝の散歩道を歩いていると、ばったりその発言者にお会いすることができました。

「協力隊の3年間が終わったら仕事はどうするんだ?親は心配してるだろう」そんな話に。「役場の臨時職員にでもなればいいんじゃないか」なんて心配していただいたのですが、私は「これまで役所で働いたこともあるし、首都圏でもできる仕事をここにいてやろうとは思っていない。地方でしかできないことがあるからおもしろいんです」なんて話を。これまで集落の人は「役場に行っている」といえば「そうか」で納得していたのだけれど、こうやって親身になって、知ろうしてくれていることが、さらに嬉しい気持ちにさせてくれました。

その人とわかれて、てくてく歩いていると、軽トラから声をかけてくれた人も、これまたちょっとお話ししたいと思っていた人でした。

そして、話があったのでもう一軒に立ち寄って、朝の散歩は終了。

心なしか、みなさん春に向けて表情も明るい感じがします。

時間がなかったり、心の余裕がないと、すべてのことを損得や効率で考えてしまいがちだけれど、人と共有する時間に価値を感じることができる今に感謝した朝でした。

人に向かっていくのは、とても勇気のいることです。受け入れてもらえるかな、心の扉を開いてくれるかな、そんな不安はいつもあります。でも、こういうおしゃべりを繰り返すうちに、距離が縮まった体験がこの一年沢山あったなと思います。

都会のオフィスで、あのまま仕事をしていたら知ることのできなかった世界だなあと。これから移住してくる人にも、そんな価値観がガラリと変わる瞬間を、たくさん経験してほしいと思っています。

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今年初のふきのとう

 

 

自由とは

大日向地区に開校が決定している日本初のイエナプラン教育に基づく私立大日向小学校の地域説明会がありました。これまで何度も地域の人との対話を繰り返してきた経緯がありますが、私は初めて参加。私は、大日向小学校の関係者ではありませんし、カリキュラムに詳しく触れたことはありませんが、なんとなく思ったことを。

「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界をつくる」という大日向小学校の建学の精神。個を尊重するのは、子供だけでなく、教員も、親も、地域の人も、全ての人と対話していくんだという話がありました。

これまで個を重んじる教育が日本ではなかったのかというとそうではないのです。思えば、私の2つ上の世代からゆとり教育がはじまり、「ナンバーワンでなくオンリーワン」「個性が大事」「自由」そんな多様性教育を受けてきました(たぶん)。時代的にも、情報革新が目覚ましく、日々新しいものが生まれ、次々に古くなっていく。果たして、本当に自分にとって価値のあるものって何だろう、自分らしさってなんだろう。私たちは、そんなことを突き詰めて考えさせられるような世代なのです。その世代が社会に出て教える側になったいま、それを体現するような学校ができることは自然な流れのような気がします。

ただ、地域の人からは「自由自由っていうけど、本当にそれで社会に出たときに困らないのかねえ」なんてきいたことがあります。確かに、大人が社会的強者である世の中で、大人が子供をコントロールすることの方がよっぽど簡単なのかもしれない。子供の意思を尊重すると口では言いながらも、腹のなかで「こうしてほしい、こうしたい」と思って子供と接することだってある。それは、大人同士の関係も同じ。パワハラモラハラと最近ではカテゴライズされるようになってきましたが、古くから家父長制のもとで、家庭内でさえヒエラルキーがあったと私は捉えています。上から下への指示系統しかないなかで、対話するなんて発想が育つはずもありません。

上記の地域の人の心配。「自由=好き放題にする、やりたい勉強だけする=わがままになる」というイメージなのかもしれませんが、イエナプランのいう個を尊重する、というのは、自分にとっての自由を求める過程で他者(友達や大人)とぶつかること、ぶつかって対話して解決していくというプロセスに価値を見出す教育なんじゃないかなと、説明会を経た今、解釈しています。

実は昨今うるさいほど言われる「コミュ力」は、そうした他者との関係によってこそ育まれるものなのだと思います。そう考えると、おや、なかなかいい大人になりそうなものだ。

実践を見守りたいと思います。

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関係ないけど大日向に日が昇る瞬間

 

寒村

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この時期、直売所まちのえきも寂しげです。12月頃までは野菜でいっぱいだった野菜棚もこのとおり。

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加工品や豆類が幅をきかせています。

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農家さんは作物を作っていないと思っていたら、キラキラした緑色が目に入ってきました。そう、東京から移住してきたいそベジさんの農薬と化学肥料不使用の小松菜とほうれん草。

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ほうれん草の茎の甘いこと。野菜の旨さを噛み締めるときが「佐久穂町にきてよかった」と思う瞬間のひとつです。

 

もうひとつ、最近佐久穂町に来てよかったと感じるのは、冬の星空の美しさ。疎いのでオリオン座しかわかりませんが、大きな星だけでなく、星雲も美しいです。寒い夜に、冷たい空気を吸いながら空を見上げたり、大日向の川の音をきくとき、随分遠くに来たものだなあと思います。

 

このブログをお読みの方のなかで、この土日に佐久穂町に来る方もいらっしゃるかなとおもいます。雪予報もありませんので、寒さの対策だけしてお出かけください。もし時間があれば、少し歩いて春の気配を探したり、星空を見上げてみてはいかがでしょう。

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まだまだ続く漬物、、、

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これなんだと思いますか?

正解は天ぷらにするととても美味しい山菜「タラの芽」。すこーーし、膨らんでいますね。寒村の寂しさのなかにポッと現れた、春の予感。ただ、佐久穂町の芽吹きのときは4月後半、山菜を味わえるのはまだまだ先です。

昨年、知り合いの有機農家のお宅で作った赤かぶ漬けに感動し、今年は漬けてみました。 

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ひとつ、700gもあります。一日の寒暖差が大きい気候条件のもと、糖度をグングンあげた赤カブ。このまま、オリーブオイルとスパイスでグリルするだけでも贅沢なステーキになりますが、ぐっと我慢。

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約4キロを2週間ほど塩で下漬けして、本漬け。赤カブ漬けは山形や、飛騨のものが有名ですが、やはり手作りが一番だなと。しかも、この赤カブ、買ったら間違いなく高価なのですが「いつもお世話になってるからお代はいいよ」と。こうした厚意を受け取るたび、周りの人に還元したいと思う日々です。

 

価値観の違い

突然ですが、移住検討者が移住先に求めるものって、なんでしょう。私は「都会に疲れた」わけでも「田舎が好き」なわけでも「有機的な暮らしに憧れた」わけでもありませんでした。だから、移住する方がなにを求めてくるのか、そのまま共感することはおそらくできません。

ある人は、沢の水を飲める家が理想といいました。またある人は、森に続くような場所が好きだといいました。ある人は、とにかく静かな場所がいいといいました。どれもざっくり一言でいえば「田舎暮らし」がしたい。同じようように聞こえますが、実はその言葉の意図する、それぞれの価値観もそれぞれ違うんです。

子供に安心できる食べ物を食べさせたい

持続可能な暮らしを実現したい

静かな場所で自己表現をしたい

その人にとっての「安心」「持続可能性」は、他の人にとってのそれとは限らない。

然るに、この土地に何十年も住み続けてきた人には、私や、移住してくる人の価値観というのは到底共感できるものではないんです。逆もまた然り。

しかし、わかりあおうとする関わりなかで、相手の価値観を理解しようとする働きが生まれたり、気持ちをわかちあうことが、いまこの地域に必要なことなのではないかなと思います。

「外から来た人がなんかやってるらしいよ」で終わらせてしまう、きた人も「どうせわかってもらえないから自分たちだけで進もう」。お互いに、全く異なる価値観と向き合うことは、怖いんです、不安なんです。不安を解消するためには、そうです、そこからいなくなるか、対話していくしかないのです。大丈夫、相手も不安だから。

特に、私なんて、何年すむのか、いついなくなるのか、どんな仕事をしていくのか、集落の人からしたら不確定要素たっぷり。私だってこんな得体の知れない人間を受け入れてくれるのか不安です。だからこそ、日々集落の人と関わり続けていくのだと思います。ちょっと抽象的ですが。

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先人たちの足あと

光熱費

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働いているハーブティーブランドの畑の周りには、沢山のイヌフグリが咲いていました。春はすぐそこ。

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(0度だけど。)

私のシェアハウスは、ファンヒーターがそれぞれの部屋に1台計3台、石油ストーブがリビングに1台。前にも油を買うために働いている!なんて書きましたが、冬はそれをより実感します。

yamaniには室外に400L入る石油のタンクがありますが、うっかりしていたらEMPTY になっていて、慌てて設備屋さんに電話しました。翌々日には、給油してくれました。給油代はオーナーが引き落としにしているので、立ち会って現金を支払う必要はありません。

シェアハウスには、大人2人、子供1人が住んでいますが、2ヶ月で200Lは使っています。1L92円として18400円÷2世帯÷2ヶ月=ひと月の灯油代が各世帯4600円。首都圏で生活している感覚だと、恐ろしく高いですよね。夏場のクーラー代がない分、冬は惜しまず!

先日、お会いした移住検討者から「水道代が高いとネットでみたのですが」と質問が。上下水道合わせて2世帯で6000〜8000円。高いのか、安いのか、わかりませんが、杉並区で2人で暮らしをしていたときはふたりで3000円台だったので、割高なのかもしれません。

昨年から作成してきた移住パンフができあがり、6ページから光熱費についてもみることができますよ。ご参考になさってください。

https://www.town.sakuho.nagano.jp/iju/assets/file/pamphlet01.pdf

 

支援の意味

15cmほど積もった雪は、昨日の太陽の光でだいぶ溶け、深夜に再び凍り、今朝はツルツルの路面となっています。

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昨日は、私の住まいのシェアハウスである古民家yamaniに、移住検討者の方の再訪がありました。一緒にドーナツを食べ、大自然を感じながら集落を眺め、ハーブティーを飲みました。

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帰ってから、「炭谷さんに連絡してよかった」と、メッセージをいただきました。なんてことはない、一緒に時間を過ごして、同じ景色を見ただけなんです。もちろん、移住してくださいとも言いませんし、なにか特別な体験を用意したわけではないんです。

これまで移住支援員として、移住相談や空き家の交渉をしたりしてきましたが、なにを成果とするのか、いまいち確信が持てずにいたものが、その一言で救われる思いがしました。

この場所にいて、地元の人との関係性を作り続け、外から来た人を温かく迎え入れる、それだけでも大日向に住む意味はあるのかもしれないなあと。

 

私は移住支援員として、移住者を増やすことが目的なのではなくて、その家族がより豊かに生きていけるお手伝いをしたいと思っています。

なかには、移住したことによって家族全体の幸せがみるからに上がったという人にも出会います。 でもそれは、悩んで、喧嘩して、許して、譲歩して、そんなやりとりを繰り返すのなかで家族の関係が更新されたからこその幸せなのだと思うのです。「移住」というテーマに対して、お互いの幸せについて考えたり、価値観の確認をする、そんなことができるのではないでしょうか。

そして、移住してきた人がこの地域の豊かさに触れ、地元の人も「なんの変哲も無い」と思い込んでいる場所で、外から来た人が楽しそうにしているのをみて手助けしたくなる、そういう気持ちの連鎖こそ「移住者を増やす」価値なのかなあと思っています。

 

移住検討者の皆さん、「移住しろ」なんていいませんから、気軽にyamaniへ遊びに来てくださいね。